スイングウエートとは ゴルフの科学
今回はスイングウエート(swing weight)あるいはスイングバランス(swing balance)または単にバランスと呼ばれる数値についてお話します。
(以下では”バランス”という表現で統一します。)
バランスとは物理的には
グリップエンドから14インチの地点まわりの”モーメント”
の事です。ゴルフショップにはバランス計という物もありますが、秤とものさしがあれば計算でバランスを求める事もできます。では実際にやってみましょう。その前に 1インチ=2.54cm、1オンス=28.35g です
では実際のドライバーで測ってみます。
長さは45.75インチ、重さは307.8グラム(10.86 オンス)ありました。
またグリップエンドから釣り合う地点までの距離は83.5センチありました。
”ゴルフの科学 モーメント”のところですでに説明していますが、モーメントは
==== (作用点と回転の中心との距離)*(力) =====
で決まります。
作用点はグリップエンドから83.5センチの地点
回転の中心はグリップエンドから14インチの地点です。
83.5センチ -14インチ = 32.87インチ -14インチ = 18.87インチ
です。これに力=クラブ重量をかければモーメントが求まります。
18.87インチ*10.86オンス = 204.9インチオンス
バランスとモーメントの対応は表の通りになっています。
C0が196インチオンス C8が210インチオンス といった具合です。
204.9インチオンスは表で見るとほぼC5に近いですね。
別途バランス計で測ってみてもC5になりました。めでたしめでたし。
※ A0を0、 B0を10、 C0を20、 D0を30 というふうに表現すると、モーメントの値(インチオンス)からバランスが計算できます。
==== バランス= (モーメント- 161) *4/7 ========
今回のケースでは
バランス= (204.9-161)*4/7=25.08
ですからC5.08という事になります。
バランスの値は長い間 クラブを振った時に感じる重さの大小を表す と信じられてきました。ところがこれは全くの間違いである事がとっくに常識になっています。今では雑誌にもよく書かれていて世間の常識にもなってきているようです。それではどこが間違いなのか?
1)誰も(普通は)グリップエンドから14インチのところを握らない。
2)ゴルフスイングはグリップエンドから14インチのところを中心に回転するのではない
からです。
昔はシャフトといえばスチールシャフト、グリップといえばどれも55g前後のものと決まっていたのでこの間違った原理でもそれほど困らなかったのですが、最近のシャフト重量は軽いものから重いものまでひろい範囲で選べますし、グリップも同様です。今では
D2がC8より重く感じる
とは言えなくなってしまったのです。
簡単な例をいえば、グリップを軽いものから重いものに変えたとします。するとクラブは重くなっているのですから振ってみても重く感じます。ところがバランスでみると重い方が軽くでてしまうのです。
以上のように”バランス”はシャフト、グリップが同じものでない場合は全く比較用として使えないという事です。とはいえ同じアイアンセット内では同じシャフトとグリップを使用しますので”バランス”も大体同じ値になっています。クラブセット全体でみると”バランス”が一定かよりも、クラブ重量やシャフト硬さがでこぼこになっていないかがより重要だと思います。
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