カーボンシャフトは柔らかい?

シャフトの素材には大きくわけてスチールとカーボンがあります。

先日のお客様曰く「私にはカーボンだと柔らかすぎでスチールだと重すぎでどうしようか迷っています」という事でした。”カーボンが柔らかすぎ”って本当でしょうか?

ここで”スチールシャフト”とは鋼を素材にしたスチールシャフト、”カーボン”とは炭素繊維を素材にしたカーボンシャフト(グラファイトシャフトとも言う)の事をさします。

鋼とは鉄をベースにした合金の事でシャフトに使われる特殊鋼にはクロムやモリブデン、バナジウムなども使われています。(ヘッドに使われている鋼の多くは炭素鋼で0.2%程度の炭素が入っています。) 一方カーボンシャフトには炭素繊維と、それをつなぐ樹脂で出来ています。一部には必要に応じてガラス繊維や他の繊維をまぜる事もあります。

では強さを比較してみましょう。



炭素繊維は引張強度で1000から7000MPa(注↓)の強さがあります。一方一般的な鋼の引張強度は400から500MPa程度です。ヘッドに使う一番強いマルエージング鋼でも2000MPa程度で、チタン合金でも一番強いもので1500MPa程度です。素材的には炭素繊維の方がはるかに強いのですね。これが現在の炭素繊維の実力です。

多くの方が”カーボンシャフトは柔らかい”と考えている一つの原因は、最初のカーボンシャフトは確かに柔らかかったからだと思います。1970年代からカーボンシャフトの歴史は始まります(この当時は”ブラックシャフト”と呼ばれた)。最初の製品の詳細スペックは分かりませんが、トルクは10度前後だったようです。すると確かにスチールシャフトよりかなり柔らかかったのです。当時の炭素繊維は今ほど強くなかったのですね。もう一つ、柔らかい女性用のシャフトは今ではほぼ100%カーボンシャフトになっているからだと思います。実際にはガラス繊維がけっこう使われているのですが。

現在では炭素繊維が飛行機の素材に大量に使われたり、あの姉歯事件のあと補強材として使われたりしています。鋼よりも全然強いからです。(値段は高いが)

また重さも比べてみましょう。鋼の比重は7.9g/cc前後ですが、炭素繊維は1.6-1.9g/ccくらいで圧倒的に軽いです。するともともと強いのに軽いのですから鋼に勝ち目はありません。ただしカーボンシャフトは炭素繊維と接着剤の役目の樹脂との”複合材”ですからシャフトになると炭素繊維単体よりは弱くなります。またこの複合材には強い方向と弱い方向がある事も頭に入れておきましょう。

まとめると カーボンシャフトは柔らかい のではなく ”柔らかいのからスチールシャフトより強いものまで選べる” という事です。

注) 1000MPa = 1000N/mm^2 = 102kgf/mm^2 = 10tf/cm^2

1平方センチメートルの断面あたり10トンの荷重に耐える強さという意味

軽自動車約10台を吊るせる強さ

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